大判例

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名古屋高等裁判所金沢支部 昭和26年(ネ)136号 判決

控訴代理人は原判決を取消す、被控訴人の請求はこれを棄却する。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とするとの判決を求めた。当事者双方の事実上の主張並びに立証は原判決の事実摘示と同一であるからここにこれを引用する。

三、理  由

職権を以て調査するに本訴は原審原告鈴木はるが控訴人(原審被告)を相手取り昭和二十年九月六日戸籍吏に届出た右鈴木はると控訴人との養子縁組の無効確認並びに昭和二十一年三月二十八日戸籍吏に届出た鈴木はるの隠居の無効確認を求めるものであるところその原審係属中昭和二十二年十二月六日右鈴木はるが死亡したにも拘らず原裁判所はこれを看過してそのまゝ審理を続行し昭和二十六年四月三日原告勝訴の判決をなしたこと、控訴人はこれを不服として本件控訴を提起するに当り右鈴木はるが既に前記の如く死亡していることを知つて受継の申立をした結果原裁判所は昭和二十六年六月三十日右鈴木はるの訴訟手続を金沢地方検察庁検事正をして受継せしめる旨の決定をなし控訴人は同年七月六日右検事正を相手として本件控訴に及んだことは記録上明らかである。凡そ養子縁組の無効又は隠居の無効を主張する権利はいづれも一身専属の権利であることはその性質上毫も疑いの余地ないところであるから、相続人においてこれを承継し得ないものといわなければならない。従つて養子縁組の無効確認又は隠居の無効確認の訴訟進行中原告が死亡した場合には相続人がその訴訟手続を受継し得ないことはいうまでもなく、かかる場合に検察官がこれを受継し得る旨の特別の規定もないから当該訴訟はこれを遂行するに由なく原告の死亡と同時に判決なくして当然に終了するものと解するの外はない。しかるに原裁判所が右鈴木はるの死亡にも拘らずこれを看過して本件訴訟を終了したものとして処理せず審理を続行して判決に及んだのはその訴訟手続が法律に違背しているものというべく原判決は取消を免れない。而して前叙の如く本件訴訟は判決によらずして完結の処理を為すべき場合であるから訴訟費用については民事訴訟法第百四条により処置するを相当とし本裁判に於てこれが裁判を為さない。よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 観田七郎 松島政一 米光哲)

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